日本からフランスに小包を送る方法〜関税に気をつけて!

フランスにいる家族に日本から小包を送る方法について。国際郵便または国際小包ですね。DHLやクロネコヤマト、日通等、輸送サービスを行う会社はいくつかありますが、郵便局に比してかなり高くなりますね(高額な品を送る場合は郵便局より安くなることはあっても)。郵便局で送る場合を想定して記事を書いていきたいと思います。

発送手続き

ということで郵便局で発送手続きについて見ていきます。2021年1月1日から通関電子データの送信が義務付けられたことにより、21年7月よりパソコンやスマホでデータを打ち込んだ送り状を用意することが必要となりました。

郵便局のサイトで情報を打ち込み(https://www.post.japanpost.jp/int/label.html)、パソコンの場合はそのまま印刷するか、スマートフォンの場合はQRコードをメールで受け取り、これを郵便局の機械(ゆうプリタッチ)にかざして印刷するか(内容物3品目までの場合)、窓口で提示して印刷してもらう(内容物4品目以上)ことになります。

こういった作業に慣れていない高齢の方は若い人に頼んで、スマートフォンで打ち込んでもらいQRコードを受け取ると良いかもしれません(郵便局ではやってもらえないと思います)。

送り状作成時に必要な情報は以下の通り。
・送付物(書類、小包)と送付方法(EMS、SAL、船便)
・差出人の氏名、住所、電話番号
・宛先の氏名、住所、電話番号
・内容物、またそれぞれにつき重量(g)、及び値段(円)

後述しますが、贈答品であっても45€超の場合フランスで関税がかかるので(https://www.douane.gouv.fr/fiche/recevoir-un-colis-envoye-par-un-particulier)、値段については全体で45€未満になるように記入しましょう。実際に1万円のものでも例えば1000円と記入してしまえば良いと思います。贈答品なので0円とするのもありかとは思いますが、個人的にはやったことがないので断言はできません。

他の人にやってもらう場合は上記必要事項を全てメモに書いて渡せば良いと思います。内容物の値段について全体で45€にするよう個々の品物の値段を書いておくことを忘れないでください。

小包の送付方法と送料

航空便、SAL便、船便があります。

EMS(最速航空便)は4−5日ですが3kgで約9千円、船便は3ヶ月ほどかかりますが約4千円になります。SAL便(通常航空便)はその中間、すなわち所要日数2週間、送料7千円ほどですが、残念ながら22年8月現在SAL便は運休しているようです。

船便はコンテナがいっぱいになってから出航するので、通常だと1〜3ヶ月かかりますが、コロナの影響で遅めになることが予想されます。

EMSは後述するように受け取り側で多額の関税を徴収されるリスクが高いので、よほどの急ぎでなければ船便を使うのが無難かもしれません(船便でも電子データの送信が必要になるかもしれませんが)。

小包に入れてはいけないもの

EMSの場合、フランス現地で配送を受け負うChronopostが送付できないものを定めています。以下のドキュメントを参照。

食料品、サプリメント、紙幣、香水なども、日本への送付不可リストに含まれています。

関税諸費用

送り状が電子データ化されたことにより、今まで見過ごされてきた関税が厳密に課されるようになりました。先述した通り、個人間のやりとり、贈答品であっても45€を超えるものは関税及び付加価値税が課されることになります。これに加え、配送業者(Chronoposte等)による通関手続き料が課されます。

上のChronopostのドキュメントでは、日本が相手国の場合、商品価値が90 USDを超えるかどうかで課税・非課税が決まってくると記載されています。電子データ化されているので、その辺は間違いなく適用されるとは思いますが、僕なら念を入れて45€に抑えたいと思います(後述するように痛い目に遭っているので…)。

関税がかかる場合、配達時に上記3つ(関税、付加価値税、通関手続き料)の料金合計を支払うよう配達人から要求されます。前者2点はこの配達業者が税務署に納めることになります。

配達人への支払いは現金か小切手(Chronoposte等の配送業者宛て)です。支払いを拒否する場合は小包を受け取れず、配送センターに戻され、最悪、差出人に返送されることもありえます。配送センターに戻されてしまうと、小包を受け取るため後日ここに出向かないといけなくなります。

小切手を渡したら、小包だけでなく、請求書あるいは明細も受け取ると良いと思います。計算方法が記入されているので、一応納得はできる筈ですし、後日クレームを入れる場合、取り扱い番号等分かっているので、多少スムーズに話を進めることができると思います。

①関税Droit douanierの計算は、150€以下の場合商品価格に対して(Ad Valorem)税率がかけられ、150€を超える場合は商品価格+送料+保険料の合計に税率がかけられることになります。

税率は物によって異なり、一律forfaitaire適用される場合2.5%ですが、物によっては0%、4%(宝石等)だったり12%(衣服等)だったりします(https://www.douane.gouv.fr/fiche/calcul-des-droits-et-taxes-sur-les-achats-letranger)。送り状を見て主要なものにより税率が決まり、それが全体に適用されると思って良いでしょう(僕自身の体験から)。

②フランスの付加価値税TVAは通常20%ですが、書籍は軽減税率が適用されます。書籍と他のものと混ざっている場合、厳密に軽減税率が適用されるかどうかは、情報がないので断言はできません。

③配送業者による通関手続き代行料Prestation de dédouanementは、22年8月現在Chronopostの場合、21€(税込)です。

例えば25000円の価値の贈答品を、真っ正直にこの金額を送り状に記入し、EMSでフランスに送る場合をシミュレーションしてみましょう。
贈答品とはいえ45€超なので、関税諸費用がかかります。150€超なので商品価格だけでなく送料(EMSを想定しているので9千円とします)も加えて税率が掛けられます。送料に含まれる以上の保険は掛けないことにします。1€=130とします。

(25000+9000) x 2.5% / 130 + (25000+9000) x 20% / 130 + 21
= 850 /130 + 6800 /130 + 21
= 6.54 + 52.31 + 21
= 79,85 €

純粋な関税部分に2.5%を適用してこの額です。これが衣服が大部分を占めるとすると12%が適用されますから、それだけで31.38€、全部で105€になってしまいます(フランスでは小数点以下は四捨五入)。

実はこれ、僕が最近フランスで小包を受け取った時に関税諸費用で支払った金額です。内容物のうち一番高かったのが衣服で、その他の物にも全て12%が適用されてしまいました。明細を書いたものがあるので、税務署に不服申し立てしようかとも思いましたが、その中に食品(煎餅)が含まれていたので、これは逆に見せるとまずいということになり、諦めることにしました。

後書き

フランスでChronopostが配送を請け負うEMSの場合を説明しました。船便の場合も同様になるかどうかは分かりません。電子データ化が進み、船便の方も容易にチェックできるようになっているかもしれません。

送り状には合計で45€未満になるように記載すれば、少なくとも即課税、ということは避けられると思います。贈答品でも関税はかかります。売るための価値ではないので、新品であっても10€とか20€とか値段を付けて仕舞えば良いのです。

日本で消費税を支払って、またフランスでも関税(付加価値税)を払わされるって二重課税じゃないですか。理不尽ですよね。だからこちらもそれなりに対応するしかないのです(キッパリ)。

この記事によって、皆さんが関税支払いを免れることを願っています。お役に立てれば嬉しいです。