フランスの戦争映画ベスト5

戦争映画というとアメリカのハリウッド制作のものや日本制作のものを想起する方が多いと思いますが、フランスでも時々戦争を背景とした映画が作られ名作と呼ばれるものも出ています。この記事ではその中で最高傑作5つをご紹介したいと思います。


戦場のブラックボード 
En mai fais ce qu’il te plaît

2015年制作、フランス、ベルギー合作。クリスチャン・カリオン監督。

En Mai Fais Ce Qu’il Te Plait

筆頭は何よりこの映画。第二次世界大戦ドイツ軍侵攻下のフランスで北東の村が集団疎開を決意、エグゾードと呼ばれる南仏への道中の話です。

メインとなるのは、ドイツ人反戦主義者が離れ離れになってしまった息子と再会できるかどうかという主題。

手入れを避けるために息子を連れてフランスに逃れますが、父ひとり警察に連れ去られ息子と別れる羽目に。幼い息子(8歳くらいか)は思いやりのある若い女性教師が面倒を見ます。いつか父親が村に戻ってくることを見越して、学校の黒板にどの村に行くかを書き残していきます。

各村には学校がある訳で、幸運にも牢屋を脱出できた父親はこの黒板のメッセージを辿っていきます。最後には息子と再会できるかどうか。

これがイタリア人作曲家の名匠エンリコ・モリコーネの繊細な旋律、5月のフランスの田園風景、人々の思いやりの描写を交えて展開していきます。
伏線としてこの英仏独語を操るドイツ人の父親と、フランス援護にやってきたものの退却中に仲間と別れてしまった英国人兵士、村の集団疎開に行きそびれ、英語もドイツ語も解さないフランス人の間に生まれた友情、連帯感が描かれます(字幕だけでなく喋っている音のトーンから国籍を想像する必要あり)。

最初は、ドイツ人の父親をスパイじゃないかと疑うイギリス人兵士と、自分の息子がいるかもしれない村が攻撃されているのに、戦闘に加わっていないイギリス人兵士に対する不信感で、両者の間にはギクシャクした雰囲気が漂っていますが、フランス・ワインを介していつの間にか素朴な友情が芽生えます。

題名は英語版を訳したものなのか、カタカナに直しただけの「ブラックボード」という語が使われています。一般的日本人がこの用語を聞いて学校の「黒板」を想起するかどうか疑問で、日本語でのブラックという語の語感を含めこんな邦題が付けられてしまったのは大変残念。

原題のEn mai fais ce qu’il te plâitは「4月にはきちんと身を覆わなければならないが、5月には好きな服を着ても良い」という文をもじったもので、「5月には好きなようにしなさい」といった自由の意味合いがあります。なので自分だったら「5月の風に吹かれて」といった題名をつけるかな。ともあれ、この作品は本当に素晴らしい。

さよなら子供たち Au revoir les enfants

1987年制作、フランス映画。ルイ・マル監督。1987年ヴェネチア国際映画祭で最高位の金獅子賞受賞。

Au revoir les enfants

2番目はやはり「さよなら子供たち」。1944年ナチス占領下のフランス。ある村のカトリック寄宿学校にユダヤ人生徒ボネが転校してきます。クラスの優等生ジュリアン・カンタンはこの少年に興味を持ち友情が芽生えます。

ナチス占領期、ユダヤ人はドイツと同じく強制収容所に送られるべく摘発されていましたが、その手はこの小村にも伸びます。

映像美と静かな音楽で綴られる名作です。

婚約者の友人 Frantz

2016年制作、フランス映画。フランソワ・オゾン監督。女性主人公を演じたパウラ・ベーアは第73回ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。

Frantz

3番目は「婚約者の友人」。1919年、第一次世界大戦が終結してまだ日が浅くドイツ、フランス共に相手国に対する憎悪が色濃く残っている時期。婚約者フランツを戦争で亡くしたドイツ人女性アンナの前に、そのフランツの友人であったというフランス人青年アドリアンが現れます。アンナとアドリアンとの間の微妙な関係。実はアドリアンには重大な秘密があり…。

一度は拒否するものの、時間が経つにつれアドリアンに心惹かれるアンナはフランスに旅立つことを決意。フランスに赴きアドリアンと再会するが…。

前編はずっと白黒で描かれ意気消沈したアンナの心象風景と言える雰囲気だったのが、生きる希望を取り戻すに従って、カラーになります。

フランツの父親、結婚していればアンナの義理の父、この役を演じた役者もとても渋い感じが出ていました。

天国でまた会おう  Au revoir là-haut

2017年制作、フランス映画。アルベール・デュポンテル監督。

Au Revoir Là-haut

第一次世界大戦後のフランス帰還兵の行く末。富裕な家庭出身で芸術的な才能を持つ青年と、芸術に無関心で金儲け一辺倒の厳格な父親とは根深い確執があります。軟弱な性質を鍛え直すために息子を戦場に送り出したものの、戦死の悲報を受けて悲しみます。実は戦場からは生きて帰還したのですが自宅には戻らず、父をはじめ周囲には自分が戦死したことに。顔に重傷を負ったため仮面を付けて生活しなければならない、その仮面をある意味逆手にとって、素性を隠し別人として生きることにした訳です、ある計画のために。

戦場のアリア Joyeux Noël

2005年制作、フランス映画。クリスチャン・カリヨン監督。オスカー外国映画賞受賞。

Joyeux Noël

第一次世界大戦が勃発してから最初のクリスマス、英軍、仏軍、独軍がそれぞれの塹壕で対峙しているが、突如として聞こえてくるアリア。殺戮し合うだけではなかった、ヨーロッパの若者の間で生まれる連帯感と友愛。

原題のJoyeux Noëlはメリークリスマスの意。

終わりに

如何でしたでしょうか。5つ厳選しましたが、個人的には最初の2つ「戦場のブラックボード」と「さよなら子供たち」が特に素晴らしいと思います。

こんなのもあるよとか、自分的にはこちらの方が上、というご意見があれば是非コメントを寄せてくださいね。