1台のipadに2つのBluetoothイヤホンを接続する方法

iphoneで音楽やYouTubeを視聴、あるいはipadでNetflixやApple TVを視聴することが多いと思います。最近のiphone、ipadには3,5mmのミニ・ジャックが搭載されておらず、Bluetoothによるワイヤレス・イヤホンを使い始めた人も多い筈。このワイヤレス・イヤホンを2つ、同一のデバイス(iphoneやipad)に繋いで友人・恋人と一緒に視聴したい、という人も多いのでは。という訳でそれが可能かどうか、可能であればどのような方法があるかを見ていきたいと思います。

1. AirPodsあるいはBeatsのワイヤレスイヤホンを使う

2019年秋より、iOS13以降のiphone、ipadであれば、AirPodsBeats(Apple W1かH1チップ搭載のもの)のイヤホンを2つ繋ぐことができるようになりました。一方がAirPods、もう一方がBeatsという組み合わせでも大丈夫です。

Beatsイヤホンをこれから購入しようという方は、商品概要に「Apple H1チップ搭載」あるいは「AirPodsや他のBeatsイヤホンとオーディオ共有可能」等と表示されているものを選ぶようにしましょう。

これならケーブルに煩わされることもなく、余計な機器を挟むこともなく、すっきり接続できます。

2. AirPods、Beats以外のワイヤレスイヤホンを使う

しかしAirPodsもBeatsもそれなりに高額ですよね…。AirPodsの場合、低反発で耳にフィットするイヤーピースが付いたモデルとなるとAirPods Proということになり、更に高額…

理由は何であれ、もう既に使っているBluetoothイヤホンがある場合も多いと思います。それにフィット感やデザイン、ANC(ノイズキャンセリング機能)を備えているかどうか等で選びますよね。また友人も既に使っているものがある場合もあります。この場合はスプリッターを追加するのが良いでしょう。

一方が3.5mmミニジャックで、コード付きイヤホンを2つ繋げられるコネクター(スプリッター)を持っている/持っていた 人も多いのでは。これのBluetooth版があれば一番良いのですが、結論から言ってしまうと、iphone、ipadで鳴らす音をワイヤレスで受け取り(受信)、2つのワイヤレス・イヤホンに音を送る(送信)、というような機能を持つスプリッターは存在しません。

1台でレシーバー(音を受け取る)とトランスミッター(音を送る)の両方を備えたスプリッターもありますが、用途に応じて切り替え、どちらかを使うことになります。例えばレシーバー(受信)モードではiphoneで再生する音楽をステレオ機器等のスピーカーで聴いたりすることができるし、トランスミッター(送信)モードであればテレビやiPadの音を2つのBluetoothイヤホンに送ることができます。用途により切り替えて使うことができるのであって、同時に無線で受信し、2つのイヤホンに送信する機能は備えていません。

↑このような商品もありますが、受信・送信を同時に行うことはできないので、これだと無意味に大きな機器を持ち歩くことになってしまいますね。(接続端子はミニジャックになっているので、MacBookでの使用、あるいはミニジャックへの変換アダプタを付けた上でiphone、ipadに接続することになりますが。)

なので接続方法としては以下のどれかの方法になります。
1)iphone、ipadには物理的に接続(ミニジャック、Lightninng、USB C)、音を2つのワイヤレス・イヤホンに送信。
2)iphone、ipadにBluetooth接続し、これにコード付きイヤホンを2つ繋ぐ。

2-1. 音源側はケーブル接続、イヤホン側はワイヤレス

2番目は、iphone、ipadに物理的に接続、音を2つのワイヤレス・イヤホンに送信するためのスプリッターの紹介です。

下はTwelve South社から出ているAirflyという商品。USB Cなのでipad向けですね。今後iphoneもlightningからUSB Cに移行していくと思われるので、この商品の有用性が高まりますね。

接続端子がミニジャックになったタイプのものもあります。これは例えばテレビに繋いで夜中でも静かに映画を視聴したり、旅行で飛行機でケーブルに煩わされずに視聴するのに使えそうです。

あるいはlightning→ミニジャックのアダプタを挟めばiphoneでも使えます。(それにしてもミニジャック、USB C、lightningと互換性のない接続方法が混在していて、面倒ですね。)

2-2. 音源側はワイヤレス、イヤホン側はコード付き

従来のミニジャックのスプリッター、そして2つのコード付きイヤホンまたはヘッドホンを持っている人は、この方法を考慮しても良いかもしれません。

下の商品はSony社から出ているワイヤレスイヤホンで、クリップ式になっています。本来は1つのイヤホン(付属)につなげて使用しますが、このミニジャック端子に上記のミニジャック・スプリッターを差し込めば、2つのコード付きイヤホンを繋げることができますね。

完全にワイヤレスのイヤホンに抵抗がある人が結構いるようで、これなら一応コード付きに見え、でも上着の襟やシャツのポケットに装着できてケーブルの煩わしさがかなり軽減されるので、便利かもしれません。

特に2つのイヤホンを繋ぐための装置ではありませんが、応用して(別売のスプリッターとの併用により)2人でオーディオをシェアすることができるわけです。

3. Bluetoothのヴァージョンについて

Bluetoothは1999年に一番古い規格1.0が登場し、徐々に性能が向上してきて2016年には5.0になりました。マイナーチェンジを経て19年に5.1が登場、22年6月現在で最新のものになります。スプリッターでもイヤホンでもBluetooth機器をこれから購入する場合、Bluetooth5.xのものを選びましょう。
小数点以下はマイナーチェンジなので良いとして、小数点の前の数字はメジャーチェンジにより数字が増えていきます。Bluetooth5.0はBluetooth4.0に比べデータ通信速度や通信範囲がより向上し、通信容量は8倍になっています。

古いヴァージョンの機器であっても接続できますが(例えばBluetooth 2.0のスプリッターにBluetooth 5.0のイヤホンを接続)、この場合古い方の性能での使用になります(画像に対して音が遅延したり、使用範囲が狭くなったりということが起こりうるということ。音質自体はあまり変わりないようですが)。

マルチポイントについて

「マルチポイント対応」のワイヤレス・イヤホンが増えてきました。「待ち受け状態」にできるということで、ボタンを押す等 接続(ペアリング)のためのアクションを取らなくても、接続できる環境であれば自動的に接続できる、という機能です。

イヤホン側のマルチポイント

1. 最初にペアリング(接続)することにより音源機器にイヤホンが「登録」されたことになる。
2. 次回からこのイヤホンをオンにすると(多くの場合ケースから出すと自動的にオンになる)、自動的にiphoneに接続される。設定→Bluetoothのイヤホンの状態は「接続されていません」(待ち受け状態)から「接続済み」に変わる。
3. イヤホンをoffにすると(多くの場合ケースにしまうと自動的にオフになる)、待ち受け状態(「接続されていません」)になる。
4. イヤホンがオンの状態でも、手動で待ち受け状態にすることもできる。「設定」→「Bluetooth」→現在接続しているイヤホン(「接続済み」と表示されている)を選び(タップし)、「接続解除」を押す。

マルチポイント対応のイヤホンであれば、同じ要領で2台以上の音源(iphone、ipad等)と「接続」できます。ただし基本的に音声(オーディオ)については音源とイヤホンとは1対1とする規則があるので、最後に使ったデバイスが優先されて接続されます。
iphoneとipadの2台にワイヤレス・イヤホンを「登録」されているとして、3つとも電源が入っているとすると、次のような動作になります。

1. イヤホンは自動的にこの2台に「接続」される。が音が聞こえてくるのは、最後に使った音源。(このステータスの違いが示される表示はどこにもない。どちらの音源の音がなっているかイヤホンで聞いて確認するしかない。)
2. 音が聞こえている方の音源のBluetoothをオフにする、あるいは手動で「接続解除」すると、もう一方の音源の音が自動的にイヤホンに流れる。
3. 両方の音源と「接続」されている状態で、音が聞こえていない方の音源を聞きたい場合は、そちらのデバイスの「設定」→「Bluetooth」で表示されているイヤホン名をタップする。

3. 音源側もイヤホン側もケーブル接続

立ち止まって考えてみると、そもそも最近のiphone、ipadにはワイヤレス・イヤホンを繋ぐもの、という考え方から出発していませんか。ケーブルからは多少解放されたとしても、電源的にはどうなんでしょう。iphoneやipad、トランスミッター、2つのワイヤレス・イヤホン、全て充分に充電されている必要がありますよね。でないとNetflixやYouTubeを見ている最中にどれかがバッテリー不足になって、ということが考えられます。

ということで音源側もイヤホン側も物理的に接続する方法も確認しておいた方が良いかもしれません。下のような従来のスプリッターを既に持っている人は少なくないかと思います。これをアダプタ経由で音源側(iphone、ipad)に繋げます。

iphoneにミニジャック端子が付かなくなった当初は次のようなアダプタが同梱されていました。でも最近のものには無料では付いてこないので、別売のものを買う必要があります。下はApple純正の商品です。

ipadの場合最近はUSB C端子になっていると思います。その場合は下のアダプタが必要になります。

そしてスプリッターにコード付きのイヤホンを2つ繋げれば、ケーブルの煩わしさはあり、iphone、ipadのバッテリー残量には留意する必要があるけれど、他の機器の充電状況については考えなくて済みます。(あとペアリングし直す手間も…)

片方がミニジャックになっている従来のスプリッターを持っていない場合は、片方が既にlightning や USB Cになっているスプリッターを求めると、ケーブル周りがすっきりしますね。

iphoneも新モデルからはlightningでなくUSB Cに統一されていく筈ですから、その辺も考慮する必要があるかもしれません。

後書き

如何でしたか。
オーディオ共有できる機種のイヤホンを使う、2つのイヤホンに送信できるトランスミッターを使う、アダプタを入手してミニジャック・スプリッターを使うという3つの方法を確認しました。

自分の場合、どのようなシチュエーションで1つの音源を2人で視聴するのかを頭の中でイメージして、自分に合った方法を取り入れてみると良いと思います。旅行で使う場合など、状況によってケーブル接続というベタな方法を検討するのもありですね。音源側のバッテリー残量だけを気にすれば良いので。