【サルデーニャ観光】サルデーニャ島の人気観光地アルゲーロ

お洒落なカフェやレストランが建ち並び、城壁に囲まれた中世の街アルゲーロ。湾に沿って素敵なビーチが広がり、岬の突端には途方もない長年月をかけて造成された海上洞窟あり、サルデーニャのエッセンスが詰まった人気観光地です。サルデーニャ島北西部、人口約44000人の海に面した街です。

おまけに国際空港があって日本から比較的アクセスしやすいというメリットもあります(「サルデーニャへの行き方」参照)。ローマ発の航空便があり、2012年のデータではここはイタリアで10番目に外国人観光客が多い街だったことも肯けます。

1. 歴史

まずはサルデーニャの歴史から。

この珍妙な名称アルゲーロAlgheroは「海藻Algue」に由来します。ただなぜこの呼称になったのかは不明です。

1-1. 新石器時代〜古代

新石器時代には人が住み着いていたようで、遺跡からは雄牛の神を祀ったオブジェが見つかったりしています。紀元前1500〜500年にはいくつかの村が形成されていたようです。

1-2. 中世

紀元1000年以降は海賊の侵略に悩まされ、一時的に衰弱したのに乗じてピサやジェノバからイタリア人がやって来て沿岸に住み着きました。ジェノアのドーリア家が街の基礎を作り、1102年、漁師の街だったのを防衛上の戦略地点にしたのが起源になります。

1353年カタルニア(アラゴン家)は、ジェノアの宿敵ヴェネチアと組んでジェノアを破り、街の支配権を握り、多くのカタルニア人をここに定住させました。一説によると、祖国でアラゴン王が犯罪人ほか好ましくない人物をスペインから一掃するためということですが、この説はアルゲーロの学者には支持されていません。

その後数世紀に渡って経済的に繁栄し街も整って来ました。税務上、商業上の特権が付与されていたためです。カタルニア語が変形した言語が現在でもここで話されているのはこういう歴史が背景にあります。

1-3. 近現代

18世紀にスペインの覇権が崩れると混乱と反乱の時代がやって来ました。

20世紀ファシスト政権の下では、土壌浄化や街の整備等アルゲーロ地方の大開発が進められました。戦後もこの方向で改善がなされ、1950年には観光客がアルゲーロを訪れ始めるようになりました。

2. アルゲーロの街

多くの観光客がここを訪れるので、旧市街もかなりお洒落です。至る所に洗練されたカフェやレストランがあります。一番人気なのはやはり城壁の近く、海の見える場所でしょうか。

ヨーロッパの観光地によくあるミニ・トレインもあるので、初日はこれで廻って街の全体を把握しておくのも良いかも。乗り場は港のすぐ近くですからすぐ分かります。チケットは大人5ユーロ、小人3ユーロ(2020年)。

3〜6月、9〜10月

10時から20時まで 20分おき

7〜8月

10時から24時まで 30分おき

2-1. 教会

旧市街(城壁内)に大聖堂と3つの教会があります。サンタ・マリア大聖堂、ミゼリコルディア教会、聖フランチェスコ教会、聖ミカエル教会。

どれか1つ見るとしたら、やはりサンタ・マリア大聖堂でしょうか。異なる時代にわたって建てられたので、それぞれの特徴が見られるようです。ゴシック–カタルーニャ様式(16世紀末)、ドームやドーリア様式の柱はルネサンス後期、霊廟は新古典様式、といった具合です。

入場料は3.50ユーロ、教会展示場見学込みだと6ユーロ。

2-2. 城壁と塔

城壁の要所要所に塔を見ることができます。12世紀にドーリア家が建てたのを、14〜16世紀にカタルニアのアラゴン家が要塞化したものです。港の近くのマッダレーナ塔、その対角線上にある聖ジャコモの塔、その間に聖エラスモの塔やポルヴェレイラの塔があります。

アルゲーロ旧市街の北の海岸沿いのホテルに滞在すると日中はリド・サンジョヴァンニ・ビーチで海水浴、夜は旧市街で夕食、その前に通り道の遊歩道でサンセットを見ながらアペリティフ等、便利かも。

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3. ネットゥーノ洞窟 Grotta Nettuno

ネプチューン洞窟の内部、右手前は洞窟内の湖

アルゲーロに来たら、ここだけは外せません。カッチャ岬の下部にあり、全長4キロメートルを誇る大きな鍾乳洞で、見事というほかありません。ローマ神話の海の神ネプチューン(イタリア語ではネットゥーノ)の名が冠されるのも頷けます。

3-1. 鍾乳洞について

見学できるのは数百メートルですが、全部見るのに1時間ほどかかります。説明はイタリア語、英語、フランス語、ドイツ語で、先頭を行くガイドさんが説明してくれます。

鍾乳洞というと西欧では豆知識として、上からつららのように垂れ下がるのがスタラクティット stalactite、堆積して上に向かうのがスタラグミット stalagmite と呼ばれるのを知っている人が結構います。ガイドさんもこの言葉を使い、4ヶ国語で発音は違うけれど同じ単語を発しているので注意して聞いてみると良いかもしれません。

日本語では上から垂れ下がるのは鍾乳石、下から堆積して行くのは石筍(せきじゅん、石のたけのこの意味ですね)といい、これが結合したものを石柱と言うようですが、あまり雑学として知っていても役に立たないというか…。西欧では学校で鍾乳洞見学を行うことが多いので上記の言葉を知っている割合が多いようです。

この鍾乳石ですが、1立方センチメートル伸びるのに100年かかります。直径1cm x 長さ10cmとして(単なる推測)、1メートル造成されるのに千年かかる訳ですね!

鍾乳洞の湿度は冬45%、夏は97%にまで上昇します。この鍾乳洞は1866年に発見され、この頃は松明で照らしていたため、所々黒ずんでいる訳です。


3-2. ネプチューン洞窟へのアクセス

さて行き方ですが2通りあります。バスでカッチャ岬に行き、断崖に設けられた階段654段 (!) を徒歩で降りるか、アルゲーロの港からボートで湾を横断する方法です。

【バス&徒歩で行く場合】

若者でその位へっちゃらという人はバス&徒歩で挑戦しても良いですね。欧州の観光客も若者から初老まで多くの人がこの方法でアクセスしています。降りるのに20分は良いとして、鍾乳洞を1時間歩いた後で、今度は登り道、西側なので陽のあたる所を20分以上かけて登ります。でも昔はみんなそうやってアクセスしてきた訳だし、その絶壁から見る湾の景色はとても美しいので、この方法でのアクセスも考慮に入れて良いかもしれません。

洞窟の入場料は大人13ユーロ、小人7ユーロで、洞窟の入り口で現金で支払います。お釣りがないよう現金を必ず用意しておく必要があります。4〜9月半ばまでは9〜19時まで、9月半ばからは18時まで、11〜3月は10〜15時です。

【ボートで行く場合】

アルゲーロ旧市街を出てすぐの港、また海沿いのプロムナードに行けば切符売りのスタンドがあるので、午後の便か、翌日午前中の便を予約、支払いを済ませます。1人16ユーロです(洞窟入場料は別途)。夏の暑い時期なら朝の便の方が良いかもしれませんよ。

行きも帰りも30分ずつクルーズ気分が味わえます。洞窟に到着したら上記入場料を現金で支払って、見学を開始します。ちょうど全体を見終わった頃に帰りの船が来るタイミングなので、そのまま乗り込んでアルゲーロに戻ります。徒歩組が汗をかいて階段を登っている間、ボート組は海風に吹かれながらクルーズする訳ですね。

貴方はどちらを選びますか?

夏は込み合長時間洞窟の入り口で待たされることがあり得るようです。徒歩でもボートでも朝早く夕方遅めの時間に行くことをお勧めします。

4. 海水浴場(ビーチ)

ボンバルデ・ビーチ(出典TripAdvisor)

4-1. リド・サンジョヴァンニ・ビーチ

サルデーニャはやはり海水浴をメインにヴァカンス客が訪れます。視界の開けたビーチが好きなら街から一番近いリド・サンジョヴァンニ・ビーチSpiaggia del Lido di San Giovanni。リド・サンジョヴァンニ・ビーチの側のホテルに滞在すればビーチまですぐ、そうでない場合は旧市街から徒歩で15分くらいです。

入江になっている方が落ち着いていて好きという向きには更に北に3つのビーチがあります。アルゲーロからはカッチャ岬Capo Caccia行きのバスに乗って行くことになります。

アルゲーロに近い方からボンバルデ・ビーチ Spiaggia Bombarde、ラッツァレット・ビーチ Spiaggia Lazzaretto、ムゴーニ・ビーチSpiaggia Mugoni。全て湾の内側で波も穏やかです。


4-2. ボンバルデ・ビーチとラッツァレット・ビーチ

最初の2つのビーチは厳密に言うとフェルティーリアという街にあります。フェルティーリア空港がある街ですね。20世紀のファシスム政権下で開発された土地の1つで、沼地だったのを乾燥させ農地として有効活用されました。これが街の名の語源になっています(Fertileは「肥沃な」の意)。

ボンバルデ・ビーチは南向き、ラザレットは東向きです。真正面に陽光が差すより横や背後から陽が差す時間帯に行くと、サルデーニャの美しい海の色がより映えると思います。


4-3. ムゴーニ・ビーチ

バス9321番に乗ると海岸沿いを走り33分程で到着します。9320番だと53分。

フェルティーリアを超えると風光明媚なポルト・コンテ湾に出ます。ここに3つ目のムゴーニ・ビーチがあります。緑豊かな岬に囲まれ落ち着いた雰囲気で、波も穏やかです。

ポルト・コンテはサルデーニャでも屈指の美しさを誇る湾で天然の良港でもあります。古代ローマ時代はPortus Nymparum(ニンフは水の妖精ですね)と呼ばれていた位。

ビーチからは右側に「眠れる巨人gigante che dorme」を見ることができます。右側の突端のカッチャ岬までの沿岸部の輪郭がまるで巨人が横たわっているかのようなのでこのように呼ばれています。

4-4. ビーチへの行き方

リド・サンジョヴァンニ・ビーチはアルゲーロ旧市街から徒歩で15分程で行けます。

その他3つのビーチには9321番のバスでアクセスします。乗車券は2.5€。アルゲーロからカッチャ岬まで46分で、上記ビーチは全てその間にあるので目安にしてくださいね。下のリンクをクリックすると停留所名や到着時刻が表示されます。

https://goo.gl/maps/cRGAE5q2yNE2

スマートフォンでDropTicketというアプリを入れておけば安く、そして早く切符を購入することができるので、レンタカーでなく市内バス利用を考えている方はダウンロードしておくことをお勧めします。これだと片道90分以内で1€、1日券が2.80€、12回分の回数券が10€で購入できます。

毎日9時15分発です。6〜9月は15時10分、17時10分もあります。でも時間的な制約があるので、徒歩で旧市街にも海にもアクセスできるホテルを選ぶのが良いかもしれません。

5. アルゲーロ滞在中のエクスカーション行き先

アルゲーロ旧市街と周辺のビーチだけでなく、少し足を伸ばしてエクスカーションを楽しむこともできます。レンタカーやバスを利用して行くことができます。

5-1. サルデーニャ西部:ボーザ

例えばアルゲーロと同じく島の西側に位置するボーザ BOSA はバスで1時間南下した所です。ここならアルゲーロに滞在したまま日帰りもできるかな。フランスのサルデーニャ・ガイドブックで推奨されているためか、至る所でフランス語が聞こえてきました。

出発時間まで待機中のミニ・トレイン

ミニ・トレインに乗れば街の主要観光名所を効率よく廻ることができます。町の中心の広場出発で、1人5ユーロ。空いている席に座って車掌さんがチケットを売りに来るのを待てば良いです。

丘の上の城砦まで行けるのは嬉しいけど、途中下車できないのが残念。でも行程の最後だからここで降りてしまえば良かったかも、と今なら思います。お城の見学後は坂道を降りていくだけですから。試した人がいたら是非教えてくださいね。

5-2. サルデーニャ西北部:ペロザ・ビーチ

島の東北部の美しいビーチ。サルデーニャで最も美しいビーチ5つを挙げるとしたら必ず名前が挙がります。

車なら1時間弱で行けるので日帰りできますが、1本道にずらーっと駐車しているので、駐車スペースを見つけるのが大変かも。朝早く行く必要があるかもしれません。

バスだとARST社714番と727番を乗り継いで行きます。片道1人4.30€。

この他 私営の夏季限定でバス会社が運行している直行便もあります。アルゲーロの滞在先ホテルまで迎えに来てくれペロザ・ビーチ前で降ろしてくれます。詳しくは下の記事をご参照ください。

6. アルゲーロと他の街を組み合わせる

港すぐのところにバスターミナルがあるので、2週間くらい休みが取れるのであれば到着後と帰国前の数日はここで過ごすとして、その間 欲張ってサルデーニャの別の街に滞在するのも有りですね。以下はアルゲーロと並び、欧州からの観光客に人気の滞在先です。

6-1. サルデーニャ北部:サンタ・テレザ

坂を降りればビーチが広がります

フェルティーリア空港でバスを乗り換えて島の北側、コルシカの正面にあるサンタ・テレザ Santa Teresaに行くこともできますね。空港での乗り換えがスムーズに行けば3時間半ほどです。

6-2. サルデーニャ東部:カーラ・ゴノーネ

同じくフェルティーリア空港経由、さらにヌオロで乗り換えて、島の東側カーラ・ゴノネに滞在するのも良いかもしれませんね。 この町から出るモーターボートのエクスカーションに参加すると、サルデーニャで最も美しいビーチの1つに数えられるカーラ・マリオールやカーラ・ゴロリッツ、カーラ・ルーナに行くこともできます。

カーラ・ゴノーネ行きのバスは1時間に1本もないので、よく時刻表を見て計画を建てておく必要があるかもしれません。移動に1日かけるのを覚悟で!バスは島を東西に横断するのでサルデーニャの内部を見ることができますし、カーラ・ゴノーネ手前の山間部の景観の美しいこと…… 挑戦する価値大いにあると思います。

6-3. サルデーニャ南東部:ヴィラシミウス

島の南東部にヴィラシミウスという一帯があり、ここにもターコイズ・ブルーの美しいビーチがあります(この名称の街もありますがビーチからは少し距離があります)。ここにいくのであればカリアーリ空港に着く便を選ぶ方が良いかと思います。アルゲーロからだとバスや電車を4−5回乗り継いで行かないとならないので。

レンタカーを借りるのであればアルゲーロからでもヴィラシミウスまで3時間25分程度なので充分行くことは可能ですね。