ニーム観光 1日で廻るとしたらどこがお勧め? 厳選3ヶ所

オクシタニー地方ガール県 県庁所在地のニームNîmesは、大規模な闘技場や神殿が現存しているためか「フランスのローマRome française」の異名を持ちます。

18世紀からは布地生産で栄え、かのデニム素材はニームが発祥の地ということはよく知られています。Denim = de Nîmes (ニームの)という訳です。

ニームを拠点にアルルやアヴィニョン、ポン・デュ・ガール、マルセイユを観光するのも良いし、アヴィニョンやマルセイユからニームに日帰りで観光することも可能です。この記事では日帰りの1日で廻れるルートで、ここだけは絶対外せない!というスポット3箇所を記述したいと思います。

たっく
実は僕が最初に南仏を旅行した時は、アルルに一泊、アヴィニョンに一泊、ニームに一泊といった移動の仕方をしていました。

その度にホテルを探さなければならないし(当時はBooking.com等ない時代で街に着いてからホテルを探したものでした)、荷物をまとめてスーツケースを持って電車に乗ったり、時間的にも体力的にも無駄が多かったように思います。複数の街が近くにある場合1箇所を拠点にし、スーツケースはホテルに置いたまま身軽に周辺の街を観光するのがお勧めです。

下の地図はニーム駅からの道順で、徒歩で歩ける距離です。闘技場見学でかなり歩くことになることは念頭に入れておくと良いと思います。


闘技場 Arènes

闘技場

筆頭は何と言ってもこの闘技場です。ここを訪れずにニームを観光したとは言えないくらい。闘技場はヨーロッパにいくつかありますが、ここニームのものは大変保存状態が良く、またオーディオガイドや説明パネル等 要所要所の説明も整備されています。

入場料10ユーロ(小人8ユーロ)にはオーディオガイドのレンタルも含まれるので、入場した後 指定の場所で受け取ってください。日本語をお願いすればそのように設定してくれます。かなり詳細な説明が日本語で聞けるので10ユーロの価値充分にあります。主要観光スポット3箇所に入場できるお得なパスについては、この記事の最後に記載してあります。

闘技場は長さ133メートル、横幅101メートルの楕円形、外壁の高さ21メートルで、60の円形アーチが2段に積み重なっています。現在はぐるっと右手に周った所に入口がありますが、当時は地階のどのアーチからでも入場可能でした。

闘技場の内部

内周のトラックは長さ68メートル、横幅38メートルです。内部の上の方に張り出した石は、当時 日除けや雨避けのため巨大な布を張るのに使われていました。

ローマ時代、24000人もの観客を収容し、座席は4つの独立したゾーン、34列に配置されていました。そのどこからもステージ全体が見渡せる円形劇場スタイルになっています。

階段の位置も殺到するリスクがないよう上手く計算されています。地下にはスペクタルの最中にステージに動物や剣闘士を登場させる手動エレベーターともいうべきシステムも備えられています。

オーディオガイドに従って見学するだけでも1時間かかり、結構体力を消耗しますから、見終わったらとりあえず近くのカフェで一服するのが良いかもしれません。

開場時間は以下の通り。闘牛やスペクタルが行われる時は見学できなくなるので特に夏場は留意してください(このサイトで日程を確認することができます)

開場時間
1〜2月、11〜12月9時30分〜17時
3月、10月9時〜18時
4〜5月、9月9時〜18時30分
6月9時〜19時
7〜8月9時〜20時

メゾン・カレ Maison carrée

メゾン・カレの建築様式

ローマのアポロ神殿をモデルとして建設されたとされています。完全な形で残っている世界唯一の神殿です(確かにギリシャ・ローマの神殿は全て屋根が崩れ落ちてしまっていますね)。

紀元25世紀ローマ皇帝アウグストゥスによりローマ帝国の植民地ネマウススNemausus(ニームの語源)の発展のためこの公共施設が建設されました。修復はされていますがほぼ原型を留めています。

作りは至ってシンプルで、プロナオス(神殿の入り口)を通ってケラ(神殿の主室)に入る形です。主室に窓はなく、採光は入り口からのみになります。長さ25メートル、幅12メートル、高さ17メートルという比率はローマのアポロ神殿と同じです。正面に6本の柱、横側は11本の柱があります。

建物は公共広場を俯瞰する形でポディウム(正面に階段を備えた基壇)の上に建てられています。当時のローマの神殿様式を映し出しています。階段は15段で、神殿では常にこの様な奇数とするのが重要でした。左足から神殿に登るのは不吉なこととされており、最初の段を右足で登ると右足で神殿入り口に着きます。

たっく
イスラム教徒がモスクに入る時も必ず右足から入る、共通するものがある….
プロナオス(神殿の入り口、玄関ポーチ)

柱は上部に華麗な装飾のあるコリント式です。プロナオスの天井は19世紀初頭に加えられた装飾です。

たっく
最も簡素で力強いのがドーリア様式、それが進化して上部に簡単な装飾がついて柱も細めになったのがイオニア様式、最も進化したのがこの華麗なコリント様式ですね。

神殿の主室には神の像が備えられ、神官のみが入室できました。儀式は全て神殿前の広場で行われていました。

メゾン・カレの用途の歴史

ローマ帝国は5世紀末に滅びますが、このメゾン・カレは様々な用途で使用され続けました。11世紀の一時期はキリスト教の礼拝堂が正面に備えられ、11〜14世紀には貴族の館、16世紀には領事の私邸として代々受け継がれました。この時には馬小屋に使われたり、伯爵夫人の意で夫の霊廟として使われたこともありました。

17世紀末からフランス革命の18世紀末まではキリスト教教会として使用、その後麦の貯蔵に使われた後、1791年に国家により買い上げられ国家資産になるにいたりようやく正当な扱いを受けることになりました。

19世紀になるとこの界隈が整備され、周囲に存在していた家屋が除去されました。ガール県県庁の古文書保管庫になり、1823年には美術館に、ついで1840年には歴史遺産として登録されました。

メゾン・カレとは対照的に現代的な建築のカレ・ダール

1993年イギリスの建築家ノーマン・フォスターは、通りを隔てた向かいに現代芸術の美術館と図書館を備えたカレ・ダールCarré d’Artを建設、その際にメゾン・カレ周辺が調和をもって整備されました。

2006年から2010年にメゾン・カレのファサードが修復され、現在見られる形になりました。


メゾン・カレのヴィジット

内部ではニーム起源の歴史が上映されています。言語はフランス語で英語字幕付きです。当時この地の住民がローマの進出を受けて帝国の配下に入ることを決意、南フランスの制圧に貢献し、ローマから手厚く扱われることになる経緯がドラマ仕立てになっています。

神殿の内部構造が見られる訳ではありませんが、このニームがローマ植民地になる過程を知ることができるので入る価値はあると思います。

入場料6ユーロです。毎日開館、開館時間は以下の通り。

開場時間
1〜2月、11〜12月10時〜13時、14時〜16時30分
3月、10月10時〜18時(10月は13時〜14時閉館)
4〜5月、9月10時〜18時30分
6月10時〜19時
7〜8月9時30分〜20時

上映時間が決まっており、窓口でチケットを購入する時に時間を知らせてくれます。待ち時間には神殿入り口のパネルでメゾン・カレの歴史について学ぶことができます(英語&フランス語。ほぼこの記事で説明した内容のことが書かれています)。


噴水庭園 Jardin de la Fontaine

噴水庭園の入り口

18世紀ヨーロッパに作られた初の市民公園であり、現在も壮麗で緑に溢れたこの噴水庭園にはニームの街の基となった泉が存在します。メゾン・カレでニーム起源の歴史を観た人は印象に残っていると思いますが、ローマ帝国に最初に従順を誓った種族がこの泉の周辺に居住しており、この泉はネマウスス神を讃えるための神聖な場所でした。

門を入って噴水に至るまでの平らなスペースは左右対称で、マロニエや菩提樹の木々とともに彫像や大きな装飾用鉢植えが配された優美なフランス式庭園になっています。噴水の奥は丘になっていて、そこは小道が灌木の合間を縫って通るイギリス風 回遊式庭園になっています。杉や樫の木が多いのはイタリア風を意識していると言えます。階段と坂を登っていくとマーニュ塔 Tour Magneに着きます。

泉の周囲

泉は力強い四角形に収められていますが、アーチやスタイリッシュな欄干の装飾が施され、彫像が置かれるなど洗練されています。

泉の中央、台座の上に置かれたニンフ(水の精)の像。奥の階段から丘に登ることになります。時間があればてっぺんのマーニュ塔に登ってニームの街を展望するのも良いですね。

湧き出る泉の水の中、鯉がたくさん泳いでいます。この泉から廃墟が見えると思います。ディアーヌ(ダイアナ)の神殿です。

紀元前25年頃に建造されでかなり損傷していますが、構造はしっかり残っています。パネルには「危険:モニュメントをよじ登るのは禁止」と書かれています。

アーチを潜って内部に入るとこんな感じです。狩猟の女神ディアーヌ(ダイアナ)の名称で今日は呼ばれていますが、実は歴史的根拠がある訳ではないようです。

また神殿と名付けられているものの用途が明確に解明されている訳ではありません。神聖な泉で崇拝の儀式が行われていたことから恐らくそれに関連した神殿だったのだろうという見解に基づいていますが、右側の窪みが本棚として使用されていたらしいことから図書館だったのではという説もあります。

噴水庭園およびディアーヌ神殿は入場無料。開園は7時半からで、9月は20時まで、10〜2月は18時30分、3月は20時、4〜8月は22時までです。

マーニュ塔の入場料:3.5ユーロ。開館時間は以下の通り。

開場時間
1〜2月、11〜12月9時30分〜13時、14時〜16時30分
3月、10月9時30分〜13時、14時〜18時
4〜5月、9月9時30分〜18時30分(9月は13時〜14時閉館)
6月9時〜19時
7〜8月9時〜20時

Pass Nîmes romaineについて

「ニーム・ロメーヌ」パス(ローマ時代のニーム・パス)は13ユーロで、闘技場、メゾン・カレ、マーニュ塔全てに入場でき3日間有効です。単独でチケットを購入すると10+6+3.5=19.5ユーロですから、最初の2つを見るだけでも元は取れますね。もちろん闘技場でのオーディオガイドも込みです。

闘技場の窓口で購入可能です。オンラインでも購入可能ですが払い戻し不可なので、現地で購入すれば良いかと思います。


あとがき

ニーム観光でのおすすめスポット3選をご紹介しました。ローマ時代実際に剣闘士が試合を行っていた闘技場、起源5世紀のメゾン・カレ、ローマ時代から神聖な場所であった泉とそれを中心に18世紀に整備された初の市民公園、噴水庭園、これら3つは必ず見ておきたいスポットです。

マーニュ塔は時間があれば登ってみると良いかもしれません。また庭園は無料ですが、マーニュ塔を含めた3箇所のパス、Pass Nîmes romaineを最初の見学スポットで購入するとお得です。

フランスのローマという異名を持つだけあって、街全体がとても良い雰囲気です。素敵なレストランやカフェもありますし。この記事では日帰りでニームを観光する場合の必見スポットを紹介しましたが、ここに数泊してポン・デュ・ガールやアヴィニョンに日帰り旅行するのも良いかもしれません。