【ブルターニュ観光】中世の景観が残る街ディナン(お勧め)

ディナンは、14〜18世紀、ランス川の船着場を経由し、布地や皮革、木材や穀物の商取引で栄えました。ここを訪れたヴィクトル・ユゴーの言を借りると「ひばりの巣のように」切り立った高台に乗っかっています。旧市街は中世当時の木組みの家屋が保存されており、そのまま時が止まっていたかのような感覚を覚えます。

1985年にフランスの「芸術と歴史の街」に選定されました。

1. ディナンの街歩き

レンヌのバスターミナルからディナール行きのバスに乗って、約1時間10分でディナン・デュクロ広場Place Duclos着。Dinan城に向かって行くと (バスが通って来た道)、城の手前にディナン観光局があります。

ディナン観光局で地図を入手

まずは地図を入手(有料20セント)、効率よく町歩きできる道順が記されておりとても便利です。

観光局を出たら更に進んでディナン城を見学。中世の町にお城は不可欠ですね。14世紀に建設され、かつての土牢がディナンの歴史博物館になっています。

ディナン城

ディナン城

ブルターニュは現代でもカトリックが根付いている地方、宗教戦争時プロテスタント勢力に攻撃を受けつつも見事に全体を損なうことなくその威容を誇っています。

さっき来た道を引き返し、地図に書かれた順路に従って旧市街に入って行きます。

旧市街入口

時計塔 Tour de l’Horlogeが見える

↑ 石畳、木組みの家、花崗岩を表面にあしらった家、玄昌石を使ったスレート屋根、背景の薄くかかった雲までが中世の趣きを醸し出している感じ。

お土産屋さんの店頭

↑ ブルターニュといえばやっぱりバターのきいたビスケット、キャラメル、シードル。それとボレーBoléeと呼ばれるシードル用のカップがセットになったのも売っています。缶入りビスケットもお土産に最適。セットの中の銀紙に包んだのは多分クレープ・ダンテルCrêpe Dentelle。クレープをレースのように折り畳んでサクッと焼いたものでブルターニュの特産の1つ

ディナンの時計台

時計塔の横の小径

↑ 時計塔の横の小径。奥に何があるんだろうと思わずにはいられず…

↑ 中庭みたいになっていてレストランやお店が何軒かありました。こういう場所が隠されている小さい町ってなんかワクワクしますね。

正面に見えるのが時計台。この塔は元々 集会所や火事の見張り台として利用すべく、15世紀末にディナンの名士による決議により建設され、1507年にブルターニュ女公アンヌの許可により時計および釣鐘が設置され、これによりブルターニュではレンヌ、フジェールに続き3番目に鐘楼を持つ街になりました。

それまで時を管理するのはキリスト教会の役割。市民が時計台を建てることができるのは、商業的に発展し市民の発言力が高まってきた証。

欧州で伝統的に見られる建築物で市庁舎によく設置されています。ロンドンのビッグベンが有名ですが、これは1834年に議事堂の一部が火事で焼失、その再建時に設置された鐘楼ですね。

お店や教会を見ながらディナンの街歩き

お土産に最適な缶入りビスケットを購入。ブルターニュは良質の塩とバターが生産されているのでビスケットがこの上なく美味。

↓ また別の土産物屋に入りました。

↓ シードル用のカップ、ボレーもこんな感じで売られています。

↓ 道を下るとゴシック建築のサン・マロ教会があります。

15〜19世紀に建設されたサン・マロ教会

教会内部。ブルターニュの教会は質素で荘厳。

↑ ショーウィンドウにもボレーが。シードルを入れるジャーもセットになっていますね。

上段にあるのはバター入れ。この白黒の縞模様はブルターニュの旗。左側のボレーには三つ巴の絵柄があしらっており、よく見かけたのですが、何を意味するのかは不明。

↑ 靴屋のショーウィンドウ。こんなところにもディナンの美的感覚が伺える。今年はブーツが流行っているのだろうか…

2. 昼食がてら一休憩

↑ 昼食は行きしにチェックしておいたこのレストラン、ル・カンタベリーLe Cantorberyへ。

↑ 2階席に通されると、そこは何ともオーソドックスな素敵な空間が広がっていました!

↑ アントレは蟹とキャベツのクネル。

↑ メインは白身魚の切身、バルサミコ・バター・ソース。バターのまろやかな舌触りにほんのり酸味が加わった このお店のオリジナル。

↑ デザートはリンゴのタルトとアイスクリーム。

この内容&雰囲気でフルコース20ユーロ、絶対安すぎます。パリやレンヌのような都会ではまずあり得ない価格ですね。田舎町って結構狙い目かも。

↑ 最後にコーヒーを注文。カップの裏側に隠れてしまっているけど、Gavotteと書かれたクレープ・ダンテルが付いてきました。コーヒーにはよく小さいチョコレートやビスケットが付いてきますが、こういう所にとてもブルターニュらしさが出ています。

3. 昼食後ディナンの街歩き再開

昼食にとても満足した後、町歩きを続行。

↑ 2階・3階へと行く毎に外側に張り出して行く、これもブルターニュ地方独特の建築様式

持ち送りCorbel」という技術が駆使されています。Corbelは古フランス語で「カラス」を意味し(現代フランス語ではCorbeau)、見ようによってはこの梁を受けるLを逆さにした形の部分、頭をもたげたカラスが嘴をつき出しているようにも見えます。

↑ 中世において汚物は窓から道に投げ捨てていましたが、ひょっとするとその汚物が下の階に入ったりしないようにとの工夫なのかもしれません。

ジェルズアル通りJerzualはこのような中世そのままの家並みがずっと川べりまで続きます。

外敵から街を守ってきた堡塁。

↑ 下には川沿いに街が存在しています。昔はこの川に架かっている橋を渡り、ジェルズアル通りを登ってDinanの街に来たようです。

これは英国庭園Jardin anglaisと呼ばれる広場からの景色。後ろには12世紀建造に建造され15〜17世紀に改修されたサン・ソヴール教会がそびえ立ちます。 ↓

ロマネスク様式とゴシック様式を併せ持つサン・ソヴール教会


丸型アーチは12世紀前半に多いロマネスク様式の特徴。12世紀後半からは尖頭アーチのゴシック様式が普及します。

 質素・荘厳な中、こちらの教会は立派な祭壇が。


終わりに

とこんな感じでディナンの街歩きをしてきました。充実した昼食も取れたし、石畳・木組みの家など中世そのままの町並みの中でとても快適な散歩ができて充実した1日でした。小さな街で昼食時間を含め3時間半くらいあれば観光できます。レンヌに滞在するのであればその日の内にもう1つくらい別の街を観光できそうです。

参考までにブルターニュの首府レンヌに1泊し、2日間で4箇所廻る欲張りコースを紹介します。

1日目:パリからレンヌに電車で移動。レンヌ駅前のホテルに荷物を預け中距離バスでディナンへ。昼食および観光。午後海辺の街ディナールDinardへ。夜はレンヌで夕食。

2日目:チェックアウト手続き後ホテルで荷物を預かってもらい、手ぶらでモン・サン・ミッシェル観光、レンヌに戻ってから観光・ショッピングを楽しみ、夕方ホテルで荷物を引き取ってパリへ帰る。

さらに1泊してサン・マロやフジェールを観光するのも良いかも。


行き方

レンヌのバスターミナル(レンヌ駅のすぐ横)からBreizhGo(レンヌと周辺地域を結ぶ中距離バス。旧称Illenooだったのが2018年に新名称で生まれ変わった)7号線(DINARD行き)で1時間

レンヌのバスターミナル出発時間は朝7時、9時、11時、14時、15時、16時…。11時発のバスがお勧め。